健康長寿・生活習慣病予防の健康ダイヤル

どんなに良い健康を誇っていても、加齢に伴い、人の心と体は次第に衰えていくものです。この衰えの過程を「脆弱化」（frailty）と呼びます。frailtyを日本語に訳すと「虚弱」や「老衰」、「脆弱」などになりますが、日本老年医学会は高齢者において起こりやすいfrailtyに対し、「フレイル」を日本語訳にすることを提唱しました。
　脆弱化は慢性の病気、好ましくない生活習慣（運動不足、飲酒過多、喫煙、偏った食事など）、そして、それらに影響する心理的・社会的環境などの要因によって加速されます。高齢者のフレイルは、生活の質を落とすだけでなく、様々な合併症を引き起こしたり、要介護状態になるリスクがあります。
　一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態であるともされており、健康な状態と日常生活でサポートが必要な介護状態の中間を意味します。フレイルの状態で家族や医療者が早く気付き、対応することができれば、フレイルの状態から健常に近い状態へ改善したり、要介護状態になってしまうリスクを減らせる可能性があります。

フレイルは、以下のような加齢に伴う心身の変化と社会的・環境的な要因が合わさることにより起こります。
・加齢に伴う活動量の低下と社会的交流機会の減少
・身体機能の低下
・筋力の低下
・認知機能の低下
・疲れやすい
・活力の低下
・慢性的な管理が必要な疾患（呼吸器病、心血管疾患、抑うつ症状、貧血など）にかかっていること
・体重減少
・低栄養
・収入、教育歴、家族構成など
フレイルは、身体的側面と精神的側面、社会的側面とが相互に影響し合っていることから、身体的・精神的・社会的な多側面に総合的に働きかける必要があります。